裂肛(きれ痔)

裂肛(れっこう)は女性に多い痔です。肛門内に裂創ができたものです。治る、切れるを繰り返し慢性化したものを裂肛と呼びます。

原因と概念

裂肛は硬い便や太い便が通ることで、肛門の粘膜が裂けて排便時のわずかな痛みと出血で発症します。しかしながら繰り返すことで傷は慢性化し、肛門潰瘍となり治りにくい傷となり、肛門は狭窄し、排便後に強い痛みを生じるようになります。

裂肛の進行度分類

裂肛は、早期, 中期, 後期, 晩期に分類されます。

初期(軽度の裂肛)
裂肛早期

【主な症状】
•排便時に少し痛い
•トイレットペーパーにつく程度の少量の出血

【背景】
硬い便・太い便が通る際に肛門の粘膜が浅く裂る。まだ裂肛は浅く、治りやすい段階です。

中期(裂肛を繰り返す段階)
裂肛中期

【主な症状】
•排便時の軽い痛みと少量の出血が続く
便が細くなる(肛門狭窄)

【背景】
「切れる → 治る」を繰り返すうちに、
傷が線維化して肛門が開きにくくなる。
その結果、便が細くなり、さらに切れやすい状態となる。

後期(痛みが強くなる段階)
裂肛後期

【主な症状】
•太い便が出せなくなり便が細いまま(狭窄)
•排便時に痛むだけでなく、排便後も10〜30分痛みが続く

【背景】
肛門が十分に開かない状態で排便を続けるため、裂肛が深くなり肛門括約筋に達してしまう。
それによって
*括約筋が緊張し、痛みが長引くようになる
*筋肉の緊張→痛みが出る

晩期(重度の裂肛・悪循環の完成)
裂肛晩期

【主な症状】
•強い肛門狭窄
•排便時の激痛
•排便後の痛みが半日〜1日続くことも
排便への恐怖心 → 食事を避けるようになる

【背景】
排便時の肛門括約筋の強い緊張や痙攣により激痛が生じます。
「排便が怖い → 食べない → 便秘悪化 → さらに裂ける」という
悪循環に陥る最も重い段階です。

治 療

治療は、初期から中期の段階では、便をやわらかくする薬や排便を整える薬、血流を改善する薬などを用いた保存療法(薬物療法)が中心となります。これにより、多くの場合は症状の改善が期待できます。
しかし、排便後の痛みが長時間続く場合や、裂けることを繰り返して肛門狭窄が進行している後期・晩期では、薬物療法だけでは十分な改善が得られず、手術による治療が必要となります。