ジオン注射とは
ジオン注射は、内痔核に薬剤を直接注射して、痔核を硬化縮小させる治療法です。手術のように切除は行わないため体への負担が少ない治療として広く行われています。日帰り手術で行えます。
薬による治療(座薬・内服)と、手術治療の中間に位置する治療法で、**「痔核硬化療法」**の1つです。
ジオン注射の仕組み
注射された薬剤により、痔核に軽い炎症が起こります。 その後、炎症が治まる過程で線維化(組織が硬くなる変化)が生じ、痔核が縮小・固定され、脱出や出血が改善します。
従来の硬化療法との違い
以前から「パスクレイ」という硬化療法がありましたが、
- 効果の持続が短い
- 定期的な注射が必要
といった課題がありました。
一方、ジオン注射は
- 効果が長期間持続しやすい
- 1回の治療で根治が期待できる
という大きな特徴があります。
ジオン注射の歴史
ジオン注射のもとになった薬剤は、1971年に中国で開発された「消痔霊」です。
その後、日本での治験・改良を経て、2005年に日本で正式に承認・発売されました。
成分名から ALTA(Aluminum Potassium Sulfate Hydrate + Tannic Acid) とも呼ばれ、正式な商品名は「ジオン注®」です。
ジオン注射の注入方法
下記イラストのように、1つの痔核に対して4か所に分けて薬剤を注入します。 注入量は3〜10ccです。
※ジオン注射は、内痔核治療法研究会の認定を受けた医師のみが施行できる治療です。
ジオン注射と切除手術の併用
ジオン単独治療だけでなく手術との併用も可能です。併用することで、
- 切除範囲を小さくできる
- 手術の負担(侵襲)を軽減できる
- 術後の回復が良好になりやすい
といったメリットがあります。
また、心臓病・脳疾患で抗凝固薬を服用している方にも適用しやすく、治療の選択肢が大きく広がります。
ジオン注射適応
すべての進行度の内痔核に適用があります。
特に出血を伴う内示額には有用です。
根治治療が期待できるのは、内痔核分類、3度前半までで、3度後期以降は脱出の症状は十分に改善しませんが、3度の後半、あるいは4度の状態においても症状は軽減します。
内痔核の分類(ジオン注射適応)
| 分類 | 状態 |
|---|---|
| 1度 | 脱出しない |
| 2度 | 脱出するが自然に戻る |
| 3度(前半) | 脱出するが容易に戻せる |
| 3度(後半) | 脱出し、容易に戻せない |
| 4度 | 脱出したまま |
※実際の治療適応は、痔核の状態や全身状態によって異なります。
ジオン注射のメリット
- 従来なら手術の適用であった内痔核を治療できる
- 痛みや出血がほとんどない
- 抗凝固薬や抗血栓薬を服用中(心臓・脳血管疾患)でも、休薬せずに治療ができる
- 手術治療と併用できる
- 効果に比べ副作用が極めて少ない
- 健康保険が適用される
ジオン注射のデメリット
- 進行した内痔核には十分な効果が得られない場合がある
- 発熱や肛門の違和感、排便しにくさなどの副作用が一時的に現れることがある
- 比較的新しい治療法のため、20年・30年といった長期成績のデータがない
- 肛門管内外痔核に対しては効果が少ない
- 外痔核には使用できない
ジオン注射を受けられない方
- 妊娠中の方
- 授乳中の方
- 妊娠の可能性がある方
- 小児
- 前立腺がんで放射線治療の既往がある方
- 潰瘍性大腸炎の方(要検討)
- 透析治療中の方
- 外痔核がある方
- 全身状態が不良な方
ジオン注射の特徴
ジオン注射には、次のような特徴があります。
- 従来の硬化療法と比較して 効果が長く続き、根治が期待できる
- 低侵襲で、高齢の方や基礎疾患がある方にも適用しやすく、日帰り手術が可能
- 手術と組み合わせることで、体にやさしい低侵襲な治療ができる
- 抗凝固薬を服用中でも、休薬せずに治療できる
- 薬物療法と切除手術療法の中間に位置する治療法である

