治療には、生活習慣の改善と薬、ジオン注射、日帰り手術などの手段があります。
これらの治療法を症状や基礎疾患、体質などを考慮して組み合わせて治療します。
生活習慣の改善と薬
生活習慣の改善と薬による治療を行います。効果が不十分な場合は他の治療を検討いたします。
生活週間の改善
痔は生活習慣や排便習慣の改善と薬にて8割以上は改善できます。手術が必要なのは10%程度です。悪しき習慣を見つけ改善することは、診療についてや予防に最も重要なことです。
薬による治療
肛門科に受診される患者様の8割は、「生活習慣の改善と薬による治療」で改善します。 以下の薬剤を症状や基礎疾患、体質などを考慮して、組み合わせ治療を行います。
外用薬(肛門の中に入れたり、塗ったりするお薬)
| 注入軟膏剤 | 直腸内に注入(軟膏の形状)する痔核や裂肛の薬です。 *妊娠中や授乳中の患者さまにも使用できます。 |
|---|---|
| 座薬 | 肛門内に挿入(弾丸の形状)する痔核や裂肛の薬です。 *妊娠中や授乳中の患者さまにも使用できます。 |
| 塗布剤 | 肛門周囲皮膚の炎症や痒みを抑える軟膏です。 |
内服薬(飲み薬)
| 鎮痛剤 | 肛門の痛みを取るお薬です。 |
|---|---|
| 消炎剤 | 痔核や裂肛、痔瘻の炎症を治めるお薬です。 |
| 抗生物質 | 化膿止めの薬です。主に肛門周囲膿瘍や痔瘻に使用します。 |
| 整腸剤 | 腸内細菌を整え良好な排便にする薬です。 |
| 便秘薬 | 便秘を改善する薬です。 |
| 漢方薬 | 痔核、裂肛、痔瘻の様々な症状に効果があります。特に芍薬甘草湯は一般薬には無い「肛門の開き」を改善する効果があります。 |
ジオン注射
ジオン注射は、内痔核に薬剤を直接注射して、痔核を縮小・消退させる治療法です。薬物治療(座薬・内服)と手術治療の中間に位置し、負担の少ない治療として広く行われています。
「痔核硬化療法」とも呼ばれます。
従来法との違い
以前から「パスクレイ」という硬化療法がありますが、効果の持続性が弱く、定期的な注射が必要という課題がありました。 それに対してジオン注射は、効果が長期間持続し、1回の治療で根治が期待できる。といった大きな利点があります。
治療の歴史と成績
ジオン注射は2005年に開発され、約20年間にわたり安定した治療成績が報告されています。現在では、標準的な内痔核治療の一つとして位置づけられています。
手術との併用も有効
ジオン注射は単独での治療だけでなく、手術との併用療法としても利用できます。
併用することで、
*手術範囲を縮小できる
*身体への負担(手術侵襲)を軽減できる
*術後の回復が良好になりやすい
というメリットがあります。
また、心臓病・脳疾患で抗凝固剤を服用中の患者さんにも適用しやすいため、治療の選択肢が大きく広がります。
どの段階の痔核に向いているか(内痔核分類)以下の方針で良好な成績を得ています。
3度前半までの内痔核 → ジオン注射単独で治療、3度後半から → 手術+ジオン注射の併用療法
痔核の進行度に応じて、最適な治療方法が選べる点も利点です。
ジオン注射(ALTA)の長所
1. 効果が持続し、痔核の根治が期待できる
ジオン注射は、痔核に直接薬剤を注入し、炎症と線維化によって痔核を縮小・固定させる治療法です。治療後にしっかりと組織が固まるため、効果が長く持続し、再発の可能性を大きく減らすことができます。従来の注射療法よりも根治性が高い点が大きな特徴です。
2. 基礎疾患がある方でも施行しやすい安全性の高い治療
心疾患・糖尿病・抗凝固薬内服中など、手術そのものにリスクがある患者様にとって、侵襲の少ない治療は大きなメリットです。ジオン注射は身体への負担が少なく、短時間で行えるため、全身状態に不安がある方でも比較的安全に施行しやすい治療法です。
3. ジオンと手術を組み合わせることで低侵襲手術が可能に
痔核の大きさや脱出の程度によっては、ジオン注射単独ではなく、手術と組み合わせることで治療効果を最大限に引き出すことができます。
例として、脱出の強い部分のみを切除し、それ以外はジオン注射で固定する方法があります。これにより、切除範囲を最小限に抑え、痛みや回復期間を大幅に短縮することが可能になります。
4. ほぼすべての進行度の内痔核に適応できる
ジオン注射は、Ⅰ度〜Ⅳ度まで、あらゆる段階の内痔核に対応可能です。軽症例では注射のみで完結し、重症例でも手術併用で効果を発揮します。患者様の病状に合わせて治療内容を柔軟に調整できる点が大きな利点です。
痔の手術
痔の手術は「1週間ほどの入院が必要」と思われている方も少なくありません。しかし、近年はジオン注射などの新しい治療法の併用や、レーザーメスをはじめとした手術機器の進歩により、手術はより低侵襲となっています。その結果、入院期間は短縮され、日帰り手術も一般的になってきています。
手術前の検査
採血検査や大腸内視鏡検査、腹部CTなどの検査が行われます。また高血圧や糖尿病などの基礎疾患などがある方は、それに付随した検査が行われます。
手術の種類
痔の種類によって手術内容は異なります。 手術については以下のページをご参照ください。
術後の注意点
どのような手術でも、術後には「リハビリ」の過程があります。肛門科の手術では、しっかり排便することが最も重要なリハビリになります。
中には「排便しないほうが早く治る」と誤解されている方もいますが、これは逆効果です。毎日、人差し指以上の太さの便をしっかり出すことが、痛みを少なくし、傷をきれいに治すためのポイントとなります。
食事:アルコール、香辛料など刺激の強いものは控えてください。
運動:激しい運動は約2週間ほど避けてください。
それ以外に特別な安静は必要ありません。普段通りの生活を送ることが、術後の経過を良好にするコツです。

